マッチングアプリの流行から考える現代人の意識の変化について

パラノネコ

こんにちは、心理思想家のパラノネコ(@neko_parano)です。

多部 茶医奈

こんにちは、アシスタントの多部 茶医奈(@chaina_tabe)です。

多部 茶医奈

今回はマッチングアプリのお話ですか。

パラノネコ

マッチングアプリなんて滅べばいいと考えてる。

多部 茶医奈

相変わらず性格が歪んでますね。

インターネット上での出逢いについて

先日たまたまワイドショーを見ていたら、結婚をするきっかけとしてマッチングアプリを利用している人々が、婚活やお見合い等を抑えて統計上一番多いという事実が報道されていた。

その統計データの信憑性云々は別として、今後インターネットを上手く活用して恋愛をする人間がより増加すると私は予測している。

とある社会心理学の研究では、初めてオフラインで対面するよりも、あらかじめオンライン上である程度人間関係を構築してからオフラインで会った方がより質の良い人間関係を作れるというデータが存在している。

そのデータの根拠の一つに、人間関係を深化させていく上での進展度合いを心理学的に考察したSVR理論というものが存在する。

簡単に説明すると、初期の人間関係ではStimulate(刺激)、つまり見た目のインパクトや美しさ、性格的なユニークさ等の人間の表面的な要素を重要視する。それらのテンションが落ち着いて人間関係が発展すると次にValue(価値)に移り、似たような価値観を共有できる人間関係を希求するフェーズになる。そして最深部まで関係が進展するとRole(役割)に移り、個々人が人間関係を続ける上でそれぞれのやるべき事を互いに分担する状態となる。

インターネット上に於いて人間関係を構築する手段としては、最近ではSNSを利用するのが代表的であるが、Facebookを除いたSNSはある程度の匿名性が担保されるので、良い意味でも悪い意味でも似た様な価値観の人間と気軽に繋がれるという特徴がある。

SVR理論を根拠として挙げるならば、同じ価値観で構築された人間関係は比較的息の長い関係になりやすいので、結果としてインターネットがきっかけで繋がった人間は質の良い人間関係が構築できやすいという理屈にはある程度納得できる。

多部 茶医奈

SVR理論は社会心理学者のバーナード・マースタイン教授が提唱した理論ですね。

パラノネコ

そうね。人間関係の進展度合いを体系化した心理モデルだね。

多部 茶医奈

この理論を理解できれば、今自分が人間関係において相手とどの段階にあるのかを冷静に把握できますね。

パラノネコ

個人的には相手と価値観が合うかどうかが長期的な人間関係を構築する際の一番強力な資金石になると考えてる。

情報社会が高度化した際の功罪について

インターネット上に存在する人間のほとんどは匿名で活動しているので、基本的にネット上での自分の行動や言動に責任を感じている人間は少ない傾向にある。

何故なら何か問題が発生した場合は、最悪アカウントを消して逃げれば良いと考えているからだ。

インターネット上だけに限った人間関係の特徴は、世間的な常識を介する必要が無く、且つダイレクトに似た様な価値観だけで繋がっているという点である。

私はここに情報社会の恐ろしさと愚かさを見出すことができる。

今の時代は高度な情報社会であり、ネットを使えば欲しい情報だけを誰もが小資本で簡単にピンポイントで手に入れる事が可能となっている。

この現象はマッチングアプリでも同じことが言えて、端的に言えば自分の理想の相手を膨大なデータの中から瞬時に検索して見つけ、出会うことができるという構造である。

この構造はマッチングアプリに限った話ではなく、就職活動や転職活動、転売ビジネス等、人間の欲が存在する限り無数に応用の効くビジネスモデルとなっている。

いわゆるITバブルという現象が起きたその本質は、膨大なデータからピンポイントな情報だけを欲する人間が沢山存在しているという潜在的なニーズを世間よりいち早く汲み取る事に成功し、且つITスキルを持つ先駆け的な人種がそれを利用して利益の出るサービスを開発し、インターネットの黎明期にビジネスモデルとしてある程度確立させたという点にある。

現在ではある程度ITバブルは落ちつていてきているが、少なくとも欲しい情報を誰でも簡単に得られるという構図は世界で今後も残り続けるし、その根拠となるデジタル資産を利用して儲ける事ができるビジネスモデルも際限なく無数に湧いてくるだろう。

まだインターネットが存在していなかった時代は、良くも悪くも欲しい情報を得る為には相応の代償や労力を払わなければならなかった。

その状態は主に既得権益層の存在を社会構造的に黙認し、差別や格差を生む原因にもなっていたし、今の常識から考えればあまりにも非倫理的且つ非効率的で無駄が多かったので、それはそれで問題があった。

なのでIT化の普及で情報が社会的に誰でも必要な情報を得られる状態になったのは、民主主義という観点からは非常に喜ばしい事であると同時に、負の側面も大きいと考えている。

例えば今の時代は合理化と効率化が絶えず進んでいるので、構造上あまりプロセスを踏まなくても結果だけを簡単に得られる社会になっている。

私は個人的に現代のこの社会構造自体に非常に高い危機意識を感じている。

何故なら何か目的を達する際に生じるプロセスが著しく欠落しており、病的なまでに社会の構造が効率化し過ぎているからである。

パラノネコ

今はITバブルが大分落ち着いてきていて、今後の情報産業でのビジネスモデルはロングテール戦略が基本だと考えてる。

多部 茶医奈

ある意味でニッチな領域を狙うという事ですか?

パラノネコ

大まかに言うとそうだね。ぶっちゃけネット上に存在しているコンテンツはもう飽和状態だから、一部の熱狂的なファンを獲得する事が戦略上大事だと思う。

今後のバーチャルファースト世代の人間について

今の時代を生きる子ども達は間違い無くバーチャルファーストの時代を生きている為、結果を得るためのプロセスを経験する事自体が難しい。

そして残念な事に、プロセスの伴わない結果を得る事は、結果を得るという意味では本質的では無いのである。

インターネットが存在しない時代を経験していない世代の人間は、この本質を履き違える危険性がある。

例えば恋愛に関しても同じ事が言えて、昔であれば異性と出会う為には外出してオフラインの社会と嫌でも関わらなければならなかった。

そして生身の人間として他人と接する必要があったので、それなりに自分の行動や言動には社会的責任が生じ、ある程度の常識を持ち合わせる必要があった。

当然出会ってすぐの段階で相手の持つ興味関心や価値観を探る事は非常に難しいので、関係を深める為にはある程度の時間もかかるし、しばしば判断を誤って失敗する事も沢山経験する。

マッチングアプリに代表される様なサービスを使う事が主流である現代人の価値観からすれば、これらのプロセスは一見無駄で非効率的に思えるが、敢えてこの様なプロセスという前後関係を踏まえるからこそ、恋愛が成就するという結果を得たという単なる事実だけではなく、結果に付随する様々な概念が複雑に絡み合っているという社会性も同時に学ぶことができたのである。

だが今の時代はインターネットを使えば簡単に結果を得る事が可能であるため、社会を構成している複雑な構造を学習する必要性が無くなり、それらを学ぶ機会も大幅に減少している。

すると社会の複雑性を理解できない人種が増加するので結果的に様々な社会問題が発生する。

例えば行き過ぎた個人主義が世界に蔓延し、安易な自己責任論者が増加し、他人の価値観を尊重できない利己主義的且つ排他的な思想の人間が増加してしまう。

過度に合理的な社会になると、利己主義的な思想を持つ人間が増加するのである。

パラノネコ

今の若い子達には、しっかりとプロセスを経る事の大切さを教えるべきだね。

多部 茶医奈

Googleで検索すればすぐ欲しい情報が手に入る時代ですもんね。

パラノネコ

しっかりと道程を踏むという経験をさせないと、テクノロジーの奴隷になって受動的で主体性の無い人間が育ってしまう可能性が高いよ。

多部 茶医奈

文明の利器を人間が上手く使いこなせる様にする為の教育が必要ですね。

日本が今後最新テクノロジーと向き合うべき姿勢について

最近は何かと価値観の多様性が叫ばれるが、こういうリベラル的な思想は抽象的な概念を用いる事が多く、ある程度の教養を持たないと誤った方向にミスリードしてしまう危険性を孕むので、取り扱いには充分に注意が必要である。

例えば自由や多様性という肌触りの良い言葉はしばしば悪用され、自分さえ良ければ良いという短絡的な思想を正当化してしまう人間が増加する等の可能性が考えられる。

近年ではこの欧米的な合理主義の思想が日本文化にも徐々に影響を与え始めており、例えば年功序列制度や終身雇用制度の廃止、社外取締役制度や株主至上主義等、プロセスよりも結果を過度に重視する風潮が日本の経営文化にも浸透しつつある。

故に現代では古来より培ってきた日本的な経営を続ける事が徐々に難しくなってきており、従業員のリストラやフリーランス化が横行し、雇用の流動化も激しくなってきている。

仏教思想における縁起や空の思想は、諸法無我という発想の元に世界の万物は常に相互依存関係にあり、個体単体そのものだけで世界に存在する事は構造的に不可能である事を説いている。

私もこの思想には概ね同意見であり、行き過ぎた個人主義という発想はそもそもが世界の真理に反していて、人類の理性の驕りで且つ人工的文明の欠陥の一部であると考えている。

マッチングアプリが流行している背景には、結果を得る為には極力無駄を省き、自分の欲を満たす為にはより効率的な生活を望むという思想の人間が増加しているという現実がある。

これは逆説的に考えると自分さえ利益を得られれば他人に一切関心を持たないという個人主義の権化であることが言え、結果さえ得られればプロセスは不要であると考える誤った思想の最たるものである。

今後もこの流れは加速し、日本でも個人主義的な人間が更に増加すると予測している。

欧米式個人主義や高度な情報社会は謂わば健全な日本精神を蝕む癌であり、我々日本人は日本の伝統文化を守る為にもこれらの思想の危険性を啓発し続けなければならない。

多部 茶医奈

なんだか少し怖い話ですね、、、

パラノネコ

少し大袈裟に書いたけど、大きく本質を外している事は無いと思うよ。

多部 茶医奈

自分らしく生きる事は大切ですが、自分の思想を他人に押し付けたり、結果として社会に悪影響を与えてしまうのは良くない事ですね。

パラノネコ

そうだね。各々がやれる範囲でやるべき事を淡々とやっていけば良いと思う。

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